<うつ度診断「ベックのうつ評価尺度」BDIテスト>

 うつという言葉が一般的によく聞かれるようになりました。ただ、うつは現代になって現れた病ではありません。

 紀元前400年頃に“医学の父”ヒポクラテスは、「メランコリア」という病気としてカラダの体液のバランスの崩れによってこの病が生じると考えていました。

 1990年頃からうつを「ココロの風邪」と呼ぶ人が現れるようになりました。
 うつは誰にでもかかる可能性のあるココロの風邪のようなものという意味でした。
 WHOの報告では世界の人口の3〜5%がうつ病にかかっていると推定されています。これは、日本に当てはめると、なんと370万〜630万人がうつ病にかかっているということ。確かに「めったにない病気」ではありません。

 うつはカラダの風邪のように、何もしないでも治るようなものではなく早期に適切な対応が必要な病気です。

  
誰でも落ち込むことがあります。その状態が一時的なものなのか?
それともうつ病によるものなのか?の違いを下表にまとめました。

 

健康な人の「うつ状態」と「うつ病」の違い

 

健康な状態でのうつ状態

うつ病

持続時間

数週間以上に及ぶことは少ない

数週間以上続く

原因

はっきりしていて、それが解決すれば良くなる

はっきりとしないことも

気晴らし

スポーツや趣味で少しは楽になる

それまで好きだったこともやりたくなくなる

1日の変化

決まった変化はない

朝は気分が悪く、夕方になると良くなるケースが多い

日常生活の変化

仕事や家事をしぶしぶでも、なんとかできる

仕事や家事が手につかなくなり、日常生活に支障が出る

自殺願望

あまりない

多い

 

 あなたやあなたの家族が、うつかそうでないかを自己診断したいと思われることがあるかもしれません。

 医師が使用している診断基準としてもっとも有名なものが、米国精神医学会が提唱したDSM−Vです。DSM−Vは一般の方が自己診断するためのものではありませんので、ここでは「ベックのうつ評価尺度」(Beck Depression Inventory=BDIテスト)をご紹介します。

 このBDIテストは、はじめて認知行動療法理論を始めた、アメリカの精神医学医アーロン・T・ベック博士によって考案されたもので、抑うつの程度を客観的に測る自己評価票です。

 以下の質問を注意深く読み、今日を含めた過去1周間のあなたの気持ちについて、

3点 いつもそうだ。よく当てはまる。

2点 そういうときが多い。

1点 少しそんなときがある。

0点 まったく当てはまらない。

で、点数をつけてください。

 

自分が醜く、老けて見えて魅力がないと感じている。

自分の将来に希望が持てない。今後良くなる可能性も感じられず、つらい気持ちになる。

過去を振り返っても失敗したことばかり思い出し、他の人よりよく失敗していると感じている。

4

性欲がまったくない。

5

自分の体調のことばかりが気になり、他のことが考えられない。

6

何をするにも疲れを感じ、何もすることができない。

7

自分自身を憎み、失望してうんざりしている。

8

他人より自分は劣っていると感じている。失敗に対して自らを責めたり、悪いことが起こると自分のせいだと感じる。

9

死にたいと思ったことがある。機会さえあれば自殺しようと思う。

10

いつも泣いてばかりいる。または、泣きたくても泣くことができなくなった。

11

絶えずイライラしている。

12

判断することが難しく感じ、決断を先延ばしにして、判断することができない。

13

今、自分は罰を受けていると感じている。

14

食欲がまったくない。

15

何をするにも大変な決意と努力が必要で、何もする気が起きない。

16

いつも罪の意識というものを感じている。

17

他人に対する関心がまったくなくなった。

18

物事が楽しめず、何をしても満足することができずに、うんざりしている。

19

最近6kg以上痩せてしまった。または、かなり痩せたと感じている。

20

いつも眠ることができない。眠ってもすぐ目が覚めたりして、再び眠りにつくことが難しい。

21

いつも暗い気持ちになり、その感情から逃れられず、耐えられないほど不幸だと感じている。

※つけた点数を合計してください。合計点によって下記のように判定されます。

 

0〜10 この程度の落ち込みは正常範囲です。
11〜16 軽いうつ状態です。専門家に相談してもよいでしょう。
17〜20 臨床的な意味でのうつ状態との境界です。専門家の治療が必要です。
21〜30 中程度のうつ状態です。専門家の治療が必要です。
31〜40 重いうつ状態です。専門家の治療が必要です。
40以上 極度のうつ状態です。専門家の治療が必要です。

 

【 「じぶんのカラダが愛おしくてたまらなくなるセルフケアの教科書」より引用 】